閉ざされているのが空間ではなく時間であることが違いますが、シチュエーション・スリラーっぽい展開がけっこうワクワクします。先が読めない面白さは「止界術」の秘密が握っています。
けっこう時間を止めるというテーマはよくあります。超能力で停止するような展開はSFでは少なくありません。しかし実際に時間を止めた時、その中で人はどのように振る舞う事ができるかという考察はあまりなされていないことが多いわけです。時間は止まっているのであれば、空間も止まっているわけですから、その中で人は動く事ができるのでしょうか。停止した時間の中でものを動かすことは可能なのか、可能だとすれば、どういう影響を与えることになるのか、整合性のある理屈の提示はなかなか難しそうです。たいていは完全に時間を停止させるのではなく、時間の流れを極端に遅くして停止しているかのごとく見せることが多いようです。
『刻刻(こっこく)』は閉ざされた時間の中で人が自由に動くことができるのは、霊回忍(タマワニ)と合体するためとなっています。霊回忍(タマワニ)の正体は現在不明ですが、今後、止界術の謎が解き明かされるとともに、霊回忍や神ノ離忍(カヌリニ、別名管理人)の正体が明きからになりそうです。
孫を攫われた一家が「佑河(ゆかわ)」で、攫った真純実愛会の総主が「佐河(さがわ)」なのでいずれも、止界術の司る、おそらく実愛会の教義書「大円行記」の著者の側にいたものたちの子孫でしょう。「佑河」に本石が伝わり、「佐河」に「大円行記」が残されたわけです。属石を持っていた間島翔子の大叔母と両家の関係はまだ見えませんが、「佑河」と「佐河」の対立の中で明らかになっていきそうです。
「佑河」と「佐河」両家の持つ止界の中での特殊な能力は、遺伝子によるものなのでしょうか。謎が集約していくにはまだ巻を重ねないと見えてきそうもありません。血が特殊能力を生むとしたら、間島翔子にも別の役目がありそうです。「じいさん」の空間移動能力は止界の中でさらに止界術を使う方法の応用だと思うのですがどうでしょうか。
「止界術」によって時間が止められた中で、止界の謎がどのように解き明かされていくのか、今後が楽しみです。おそらく映画化かアニメ化されるでしょう。『刻刻)』は『増刊モーニング2』に不定期連載です。水木しげる、伊坂幸太郎両氏絶賛。マンガ大賞ノミネートの伝奇アクション。現在七巻目まで発行、一巻目は無料です。
◆刻刻[Wikipedia]
![]() | 刻刻(1) (モーニングKC) 堀尾省太 (著) Kindle 価格: ¥ 0 佑河樹里は失業中の28歳。家では父・貴文と兄・翼、じいさん三代のダメ男がヒマを持て余している。ある日、甥・真が翼とともに誘拐される。身の代金を渡す期限に間に合わなくなった時、じいさんは佑河家に代々伝わるという「止界術」を使い、世界を“止めた”。 だがあり得ないことに、救出に向かった先で樹里たちは自分たち以外の“動く”人間に襲撃される。そしてパニックの中、異形の存在「管理人」が現れ… ![]() |



